すぐに家の外に出ていってしまう (徘徊)
家族が目を離した一瞬の間にフラフラっと外に出ていってしまいます。
家にいるのに「家に帰りたい」などとも言います。
また、会社はとっくに引退しているのに晩ご飯を済ませた後に「会社にいく」などとも言ったりします。
★ 認知症の人の気持ち
・ (家に居ても) 「ここはどこだろう」早く家に帰ろう
・ 夕方になったので夕飯の買い出しに行かなくては・・
・ 会社に行かなくては・・
原因や目的は家族には理解できなくても本人にはそれなりに理由があったことと思われます。
無理に抑えつけると欲求不満でその他の困った行動に及ぶこともあります。
● 安全のため一緒に歩くといいでしょう。
途中で休憩をとる配慮をしたり転倒、交通事故などの危険から守ってあげましょう。
(危険に対して鈍感になるのも認知症の症状ですので)
● 家に帰ると聞かない患者さんに「ここがあなたの家ですよ」と言っても理解してくれません。無理に止めても余計に執着します。
⇒ 「会社に行く」と言って聞かないお爺ちゃんに「今日は日曜でしょ」というと「そうか」と素直におさまった事例もあります。
自分はここに居てもいいのだ、と思えるような工夫をしてあげましょう。
● 服に布製の名札(名前、住所、連絡先)を縫い付けておきましょう。
夜中になると眠らないで騒いだりする
昼間は居眠りなどしている事が多い反面、夜になると深夜でも騒いだり歩き回ったり探し物をはじめてあちらこちらひっくり返したりして、家族は眠れず疲労がたまってしまいます。
★ 認知症の人の気持ち
・ 昼寝をしたから眠れないだけ、そっとしておいて欲しい
・ 虫が見えたりして気持ち悪いから・・
・ 財布があるか気になって見てみたら無くなっているんだ!
周囲との空気が読めなくなるのも認知症の人の特徴です。
家族が深夜に眠っていても気になったことがあればドンドン活動してしまいます。
その他幻覚などにより恐ろしくて眠ることができない患者もいます。
● 昼間は散歩に出かけたり適度に体を動かす事を心がけましょう。
また家族以外の親しい友人と合わせたり、趣味の時間を設けるなどの工夫も大切です。
● 宿泊可能な介護施設へ1週間程度のショートステイで昼夜逆転が治るケースもありますので積極的に利用も考えましょう。
● 就寝前のトイレを済ませておきましょう。
● 1人で寝るのが不安なようであれば、誰かがしばらく一緒に隣の布団などで付き添うのも効果的です。
● ぬるめのお風呂、足湯も効果的になります。
財布を盗まれたなどと家族や隣人などを疑う (物盗られ妄想)
通帳や財布を大事にしすぎるあまり、なかなか見つけにくい場所にしまいこんでしまい、しまった場所やしまったこと自体を忘れてしまい、周囲を疑う。
また、「確かあの時〇〇が私の財布をジッと見ていた」など無かった出来事を記憶として持ってしまい、本人なりにつじつまが合ってしまいます。
★ 認知症の人の気持ち
・私は確かにここにしまったはず
・ 私がお金のような大事なものの場所を忘れるわけがない
・ 「毎日疑われている」と言うけどこんな事を言ったのは初めてでしょ!
● 盗まれたと言っている本人に「そんなことはないよ」「だって〇〇〇だし、△△△でしょ!」などとしっかり理論建てて説明しても全く意味がありません。
● また患者からのこうした攻撃に対してまともに感情的になって、やり合ったり動揺して反論したりすると妄想は更に根強く強化されてしまいます。
⇒否定は強化につなげることにしかなりません。
● 疑われてしまった人は「悪いのは患者でなくて病気」と気持ちを落ち着かせて攻撃を受け流してください。
● 事情を知っている人に本人の訴えを十分に聞いてもらうと患者の気持ちがほぐれる事があります。
● 特に患者が一番頼りにしている人に疑いが強くかかるケースが多いのも特徴です。
● 周囲の人は疑いが向けられている家族をサポートして、孤立しないように配慮しましょう。
● 周囲の人は疑いか向けられている家族からも愚痴などを十分に聞いてあげましょう。
物盗られ妄想の他にパートナーに対する浮気妄想があります。これも上記の対策をとる事が有効です。