台所の火を消し忘れる
認知症と診断されたからといって、直ぐに家事の全てを取り上げてしまっては進行を早めるだけで良い得策ではありません。
しかし進行が進むにつれて料理の段取りが組めなくなったり火の消し忘れなどの症状が出てきます。
★ 認知症の人の気持ち
・ 火を消し忘れは私のせい? 私は絶対そんなことはしない
・ 今回はたまたまよ! 同じことは繰り返しません!
(毎回やっていても前回の記憶がないので「今回はたまたま」と考えてしまう)
記憶障害のため、火を付けたことも、火を使っていることも、消していないことも忘れてしまいます。
● IH式調理器や電子レンジでの調理など、なるべく火を使用しない方法を考えることも一つの方法です。
● 台所に一緒に立ち役割はきちんと与えながら陰ながらサポートするのが望ましい解決方法です。
⇒ 「これはお母さんの方が上手だからやってくれる?」と得意な担当を任せることもリハビリ効果があります。
● すべての役割を取り上げると認知症が悪化したり、ストレスのはけ口として他の困った症状(周辺症状)が出てくる場合もあります。
変なものが見えたり音が聞こえるとしつこく訴えてくる
「今、(亡くなったはずの)〇〇が来てたよ」とか「虫がお布団の中に沢山いて眠れない!」と騒いだり、お前の部屋の音がうるさくて眠れないと文句を言ってきたりします。
★ 認知症の人の気持ち
・ 今たしかにこっちを窓のそとから人が見ていたんだよ
・ 何でみんな言うことを信じてくれないんだ
・ 怖くて怖くて仕方ない・・・
不安と恐怖で満たされていることが多いので「見えない」「聞こえない」とあしらうと悩みを誰にも理解されず孤独感をいだくのと、恐怖感が助長されてしまいます。
本人には”現実”として起こっていることです。
”幻覚”は認知症の初期から中期にみられる代表的な周辺症状の一つです。
● 認知症の人には「見えない」「聞こえない」と言っても通じません。
⇒ 見えたものを一緒に探すフリをしてその後「大丈夫、もういない」と言って安心させてあげます。
● 認知症のせいでなく加齢のため視力や聴覚の障害の疑いもありますので専門医に診てもらうのも大切です。
食べ物でない物を食べようとする (異食)
周りにあるものをなんでもかんでも口に入れてしまう。
石鹸を口に入れてみたり、オムツをしゃぶってみたり、テレビのリモコンをかじってみたり・・。
★ 認知症の人の気持ち
・あれ?ここに落ちているのは何だろう?口に入れて確かめてみよう
・ 退屈だな~ これでも食べてみるかな
あらゆる物を口で確認する行為(口唇傾向『こうしんけいこう』)で側頭葉の障害が関係していると考えられています。
● 異食を発見してもあわてないことです。騒いだり怒鳴ったりされて驚いた拍子に飲み込んでしまう危険があります。
● おだやかに「口から出して」と言って本人が好きな食べ物を見せて「こっちを先に食べて」と差し出します。
● どうしても出さないときは、手を噛まれないようにタオルを丸めて口に入れてから取り出します。鼻をつまむと反射的に口を開けます。
● 本人の手持ちぶさたを解消するために何か用事を頼むのも良いようです