この記事の目次
9大法則と1つの原則 (法則1~法則5)
法則1 記憶障害
認知症患者はそれぞれの「原因となる病気」があり、それにより細かく症状も違います。
しかし記憶障害は例外なく認知症の患者に現れます。
認知症の人にとっての「事実」とは「記憶にあること」だけなのです。
記憶障害の3つの特徴
◆記銘力(きめいりょく)の低下
記銘力とは新しく体験した出来事を覚える力のこと。
(古い体験を覚えて保持する力を記憶力というのに対します)
この記銘力が低下するので、同じことを何度も繰り返してしまいます。
たった今の出来事を瞬時に忘れてしまいます。
◆全体記憶の障害
ある出来事をそっくりそのまま忘れてしまう事です。
例えば夕食時に息子夫婦と孫が来て賑やかに夕食を食べたとします。
息子夫婦、孫たちが帰った後、その夕食での出来事全てをごっそり忘れて、夕食を食べてないと主張します。
◆記憶の逆行性喪失
記憶は新しい順に忘れていきます。
認知症の人にとっての「今」は最後の記憶の時点のことです。
時間軸があっちこっちに混合して見ていることもあります。
法則2 症状の出かたの強弱の法則
認知症の症状はいつも身近にいてくれる人の前で強く出て、たまに会う人には弱く出るという法則です。
理由は一番当てにしている、信頼している人には素の自分を見せられるという安心感からなのです。
家族が要介護認定などの申請をお願いして調査員が訪れると、その時は毅然とふるまい家族の目を驚かせることもよくあります。
また、近所の人へ介護者の悪口を言いふらすのも本人なりの甘えです。
法則3 自分有利の法則
自分にとって不利なことや失態を指摘されたりすると、素直に認めることができずとっさに言い訳をします。
言い訳も矛盾をつくと怒り出してしまい周囲を困惑させてしまいます。
これは自分の能力低下を認めたくないという自己防衛本能から来るものです。
これは認知症患者に限らず
セッパつまる気持ち ⇒ 気持ちに余裕がなくなる ⇒ 笑って流せない
という構図になります。
頭ごなしに指摘したり注意するのでなく一歩引いて見守ることも大切です。
法則4 まだら症状の法則
いつも認知症の症状がついて回る訳でもなく、時にはしっかりとした一面も見せたりという事は珍しくありません。
認知症の部分と健常の部分がまだらに現れたりするのです。
特に第三者の前だと急にしっかりしたりします。
法則5 感情残像の法則
記銘力低下によってたった今体験したことを忘れてしまっても、その時感じたイヤな感情だけは消えずに長い時間引きずります。
記憶を失っても感情だけ残るのです。
対応のポイント
➀褒める・感謝する
「流石だね」「助かるよ」「すごいね」「ありがとう」「よくできたね」
など本人にとって肯定的な言葉(自己肯定感を高める言葉)を投げかけ続けると次第に落ち着いていきます。
➁共感する
あれこれと不機嫌の理由を尋ねるよりも話を聞いて「そうだね」「その通りだよ」「なるほどね」「そうか!」など肯定的な相づちを打つほうが良いことが多いです。
➂謝る
事実でなくても「ごめんね」「悪かったよ」などお詫びの言葉を投げかけていくと、自分の主張が受け入れられる安心感から心が穏やかに戻ります。