アルツハイマー病の臨床試験進行中薬
Ⅰ. 発症前及び初期に有効な薬
アルツハイマー病でも書きましたが、脳細胞の活動の結果作られてしまうゴミのような存在であるβタンパクが貯まるとやがてβアミロイドになります。
それが蓄積されることが発病の原因と言われています。
バピネオズマブ 会社名(米系 ワイス)
時系列
βタンパクが集まる ⇒ βアミロイドになる の時に有効
◆ 日本で第1相の治験中
病気の原因であるβアミロイドに対する抗体です。
原因にアプローチをするので症状の進行を食い止める可能性があり、大きな期待がされています。
ソラネズマブ 会社名(日本イーライリリー)
時系列
βアミロイドになる ⇒ βアミロイドが沈着
の時に有効
◆ 日本で第3相の治験中
βアミロイドの蓄積を防いだり、量を減らすことで脳細胞の死滅を防ぐ効果が期待されています。
ロシグリタゾン 会社名(グラクソ・スミスクライン)
時系列
老人班の形成 ⇒ タウタンパクが蓄積して「神経原線維変化」が起こる ⇒ シナプスにダメージ の時に有効
◆ 日本とアメリカで第2相の治験中
糖尿病薬をアルツハイマー病に応用する薬です。
脳のブドウ糖の吸収を助け、脳に起こる炎症を抑える効果が期待されています。
塩酸メマンチン 会社名(第一三共)
時系列
シナプスにダメージ ⇒ 線形細胞変性・消失 の時に有効
◆ 日本では承認申請中
神経細胞を保護して壊れるのを防ぐ認知症治療薬です。
症状が進行したケースで塩酸ドネペジルとの併用が有効だった報告が米国にあり、併用療法で中等度や重度のアルツハイマー病にも希望が持てる薬です。
臭化水素酸ガランタミン 会社名(ヤンセンファーマ)
時系列
シナプスにダメージ ⇒ 線形細胞変性・消失 の時に有効 (塩酸メマンチンと同じ)
◆ 日本では承認申請中
天然物質から得られた誘導体です。
塩酸ドネペジルと同様の働きをするだでなく、脳内のアセチルコリンを生み出す働きもあります。
欧米の臨床試験では1年間病状を悪化させなかったとの報告があります。
リバスチグミン 会社名(ノパルティスファーマ / 小野薬品工業)
時系列
シナプスにダメージ ⇒ 線形細胞変性・消失 の時に有効 (塩酸メマンチン・臭化水素酸ガランタミンと同じ)
◆ 日本で貼り薬の承認申請中
酸化ドネペジルと同程度のアルツハイマー病に対する進行抑制効果が見られています。
日本では現在アセチルコリン分解抑制の副作用を減らすため、パッチ製剤による治験中です。
副作用がないアルツハイマー病薬として期待されています。
治験
第1相 健康な人を対象に、薬の安全性や吸収・排泄などを調べます。
第2相 少数の患者を対象に、薬の用法や用量などを調べます。
第3相 大勢の患者を対象に、薬の効果や有害事項などを効果のない薬との対比で調べます。