2015年に介護保険制度が改正されました その内容は?
団塊の世代が高齢期をむかえると要支援・要介護認定者が急増し財政を圧迫する懸念から介護保険制度の存続が危ぶまれる、ということで10年ぶりに大きな改正が行われました。
改正 年 / 月 | 改正内容 |
2015 / 8 | 一定以上所得者の利用料の自己負担額が1割負担から2割負担に引き上げ |
2015 / 4 | 特別養護老人ホームの入居基準を要介護1以上から原則要介護3以上に引き上げ |
2015 / 8 | 特別養護老人ホーム 介護療養型医療施設 老人保健施設 等の介護保険施設入居者の低所得者向けの食費及び居住費の補助の適用基準の引き下げ |
2015 / 4 ~ | 要支援1・2向けの介護予防サービスの一部を市町村に移管 |
2015 / 4 | 低所得者の介護保険料の負担軽減 |
この中で最も注目された内容が「一定以上の所得がある利用者の介護サービス料の自己負担額が1割から2割に引き上げ」になった事です。
では、「一定以上の所得」とはなんでしょうか?
一定以上の所得とは?
これが、実労所得と年金による収入などにより条件が違い、いろいろとややこしいのです。
ここの記事にて参考にした後、直接お住まい地域の市区町村などへのお問い合わせもしてみてください。
条件
➀ 年間の合計所得金額が160万円以上・・・これが基本的な考え方になります。
年収から年金などの控除を差し引いた所得が160万円以上になると2割負担になります。
➁ 但し65歳以上の一人暮らしで収入が年金のみの方は年金収入280万円以上が2割負担になります。
(年金収入とは企業年金や確定拠出年金、遺族年金、障害年金も含まれます)
65歳以上の一人暮らしの人は年金控除が最低120万円になります。
よって120万円 + ➀の160万円 = 280万円
(但し年金給付が280万円受け取れる方は現役時代の年収入がおよそ850万円~900万円、または40歳時点で年収1,000万円以上というのが目安です。)
➂ 収入の判断は世帯収入ではなく個人収入になります。
(ですので例は一人暮らしの例が多くなります)
ということは、同じ世帯での夫婦でも片方が1割負担、もう片方が2割負担というケースもあります。
➃ 実質的には年金収入 + 給与所得または事業所得 = 280万に満たなければ1割負担になるようです。
安心材料・・・自己負担額も上限がある 高額介護サービス費制度
ここまでの記事をまとめると実質280万円からは2割負担という事なんですが、なんだか280万という線引きは低すぎて厳しいという声も事実沢山あがっているようです。
でもその負担額は「これ以上は自己負担しなくれもいいですよ」という頭打ちの制度があります。
それが、「高額介護サービス費」制度です。
頭打ちとなるのは一般的な所得者の人で3万7200円です。
また「現役並」と判断される所得が高い人で4万4400円になります。
この「現役並」というのは年金収入が388万円以上になります。
※ 医療保険の現役並の所得に相当するそうです。
例えば要介護5の利用者が自宅でヘルパーさんやデイサービスなどをフルに利用するとサービス費は(一部都市部を除いて)およそ35万前後になります。
その2割を自己負担と仮定すると7万円ですが高額介護サービス費制度の規定で一般所得者なら3万7200円、現役並の高所得者なら4万4400円で頭打ちとなり、それ以上の支払った分は払い戻されます。
高額介護サービス費制度の頭打ちの条件と上限金額
条件 | 負担額の上限 |
年金収入388万円以上の高額所得者 | 44,400円(世帯で) |
一般 | 37,200円(世帯で) |
市区町村民税非課税者 など | 24,600円(世帯で) |
世帯全員が非課税で年収80万円以下 | 15,000円(個人で) |
※同じ世帯の中に2人以上が介護サービスを利用している場合は同じ月にかかった自己負担額を合算できます。