介護者をもっとも悩ますのは「周辺症状」だと言われてもいますが、「周辺症状」には個人差がありますので一応に深く悩まされるとは限りません。
周辺症状とは
周辺症状は大きく分けて2種類あります。
・ 不安からくる症状
⇒ 患者が自分の行動や記憶低下に対して不安をつのらせ出てくる症状
・ 問題行動
⇒ BPSD (認知症患者の行動、心理症状)と言われます。
不安からくる症状
➀ 不安・焦燥(しょうそう)
認知症初期に、自分の行動や状況に違和感を覚えて不安や焦燥を感じます。
➁ 自発性の低下
今までは大好きだったモノや趣味などにも全く興味を示さなくなる。
③ うつ状態
落ち込んだり、怒りっぽくなる。
⇒自信をなくしたあげく、鬱になったり逆に攻撃的になったりします。これも患者の正確に左右されます。
➃ 幻覚・妄想
実際にない事柄や人物がでてきて「お金を盗まれた」とかパートナーに対して「浮気相手が家にきた」など家族を混乱させたりする。
本人はいたって本気で信じている。
⑤ せん妄
意識がもうろうとして幻覚を見たりする。
➅ 情緒障害
喜怒哀楽が鈍くなる。
➆ 睡眠障害
眠れなくなる、長時間眠れない。
問題行動
➀ 徘徊
あてもなく家の外を歩き回る
➁ 暴力
身近な人、家族などに暴力をふるう
③ 失禁
排泄を失敗する
➃ 異食
食品以外の物を食べてしまう
⑤ 不穏
急に興奮して騒ぎ立てる
➅ 弄便 (ろうべん)
自分の排泄物をいじりまわす
周辺症状も認知症の初期から、記憶障害・見当識障害などの中核症状に付随して現れます。
中期にはその症状が極端になり介護家族を悩ませます。
専門機関や介護ヘルパーさんなどに相談をしたりして家族以外のプロの力も利用しましょう。
周辺症状には個人差があります。
その人の正確や生い立ち、それまでの経験と大きく関係します。
また認知症が発症してからの家族の患者への接し方(罵声を浴びせたり、自己肯定感を深く傷つけたり)などの経験も後の周辺症状に現れてきます。
男性は職場の経験が、女性は子育ての経験が大きく影響するとも言われますが、それだけではなく幼少期の体験や生活(貧しかった、贅沢だった、厳しく躾けられた、甘やかされた)など、更に家庭では見せなかった職場の家族の知らない顔などが疾患により現れたりします。
周辺症状は「中核症状」がもたらす不自由さから来る
認知症の中核症状が自分に起こった事を想像してみましょう。
家にいても数分前に起こったことを覚えておらず、それを家族に呆れたように指摘され、今日が何月何日かも解らず、この場所さえ何処かわからず、隣に知らない人が座っている・・・
どんなにストレスで、自身も生きがいも持てたものではありません。
ただただ不安に怯えるか、自分を解ってくれない人たちに対して苛立ちを覚えてしまうことでしょう。
「情けは人の為ならず」とは言いますが、患者への心遣いが後々の家族への負担を軽くすることへ繋がるのかもしれません。